メニュー

価格転嫁 - 税理士法人水垣会計パートナーズ|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

03-5697-8666
9:00-17:00(土日祝を除く)

今月のコラム

価格転嫁

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2022年06月24日(金)

 

 日本の円安が止まりません。円は対ドルレートで136円台を付け、24年ぶりの円安水準を記録しました。原因は欧米との金利差の拡大です。日銀は景気失速を恐れて頑なに量的金融緩和策を継続しようとしていますが、米国は急激な物価上昇を抑えるためにすでに利上げに転換しました。欧州中央銀行も7月1日をもって量的金融緩和策を終了すると発表しました。欧米は足並みを揃えて金融引き締めに舵を切っています。ロシアによるウクライナ侵攻を機にエネルギー価格や穀物価格等が世界的に高騰したため、急激なインフレの芽を早期に摘もうと動き出したのが世界の潮流ですが、日本だけはマイナス金利を継続し孤立しています。企業にとって低金利は魅力ですが、だからといってコストアップは歓迎できません。

 円安はかつて日本経済の追い風でした。貿易立国として輸出産業中心に大いに円安メリットを享受してきました。しかし、サプライチェーンのグローバル化や輸入に依存する資源価格の高騰等もあり、かつてのような円安メリットを享受しにくい体質になっています。今後、日本経済に吹く風は資源価格の高騰を筆頭に、物価上昇の風に変わり、更に強まっていくことが懸念されます。

 これからの企業活動にとっては原材料等の仕入価格の上昇、各種経費の上昇等コストアップ要因が目白押しです。これまではコスト上昇は企業努力によって吸収することが求められ、価格に転嫁することは競争上タブーでした。しかし、元々仕入等の価格交渉力の弱い中小企業では、コスト上昇を吸収する企業努力には限界があります。コロナ禍で傷ついた体力もいまだ充分に回復していない企業も多く、一難去ってまた一難です。企業が生き残って行くためには必要最低限の利益を何としても確保しなければなりませんが、コスト上昇は頭の痛い問題です。

 100円ショップに象徴されるよう、企業は長い間低価格競争に晒されてきました。そこでは値上げすれば仕事が無くなるという値上げ恐怖症が根強く、デフレマインドに支配されてきました。しかし、今は値上げ恐怖症を克服し、これまでの価格戦略を見直し、行動を起こす時です。どんな事情があるにせよ、価格転嫁を喜ぶ取引先は1件もないので、ボトムアップの玉突き式にスンナリと価格転嫁できる保証はなく、価格転嫁は容易ではありません。

 企業努力によって吸収できる範囲と、限界を超えてオーバーフローする範囲とを見極めた上で、粘り強い交渉が必要です。これまでのように値上げすれば仕事が無くなると恐れるよりも、必要な値上げをしなければ会社そのものが無くなることを恐れる時です。いくら仕事があっても、採算割れの仕事では仕事をすればするほど会社の体力は消耗して行き、会社の存続が危うくなるからです。ハムレットのように悩みは深刻ですが、ここは決断時です。

Copyright © 税理士法人水垣会計パートナーズ All Rights Reserved.-ログイン-