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路線価 - 水垣公認会計士・税理士事務所|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

路線価

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2019年11月25日(月)

 

1119日の日経新聞朝刊に『路線価』否定判決に波紋という記事がありました。相続税申告の妥当性に関して争った裁判で、東京地裁で『路線価に基づく相続財産の評価は不適切』という判決が出た、という記事でした。ちょっと驚きです。

 

判決は8月末に出たそうですが、情報不足で判決の詳細までは判りません。新聞に掲載されていたことしか判りませんが、無関心ではいられません。相続税の申告では、日常的に路線価に基づき財産評価をして申告しています。それは、何も私に限ったことではなく、税理士なら皆そうしているはずです。

 

判決では被相続人の行為を、『近い将来に発生することが予想される相続で、相続税の負担を減らしたり、免れさせたりする取引であることを期待して実行した』と認定し、それを理由に納税者側の路線価評価に基づく申告を否定したそうです。国は、路線価評価に基づく評価ではなく、不動産鑑定による時価評価額で申告すべきであると主張して、勝訴したようです。

 

不動産の場合、『時価』評価と言っても、そもそも『時価』そのものが確定的なものではありません。近隣の売買実例などからおおよその取引相場的なものはありますが、必ずしも客観性はありません。そこで、恣意性を排除したり、評価の公平性・簡便性を担保するために、路線価という統一的な尺度に基づいて土地等を評価します。そのために、国は財産評価基本通達で詳細なルールを定めています。通達そのものは法律ではないので租税法律主義の立場からは問題がありますが、実務的には立法論はさて置いて、通達に準拠した申告が一般的に行なわれています。

 

判決では、近い将来に発生することが予想される相続だったことがポイントになっています。近い遠いはともかく、人は必ず死にます。どんな人も死は避けて通れません。今では終活もブームになっていますが、自分の死を前提に税対策を講じることは税法上不適切な行為なのでしょうか?

 

また、相続税の負担を減らしたり免れさせたりする取引であることを期待して実行したことがポイントになっています。節税は脱税ではありません。残念なことに節税も悪であるような風潮が一部にありますが、税負担を減らそうと考えて行動することは賢明な行動ではなく税法上不適切な行為なのでしょうか?

 

国は、財産評価基本通達という評価ルールを定めていますが、今回、つまみ喰いのようにルールを使い分けています。どのような場合には路線価評価で良く、どのような場合には路線価評価では駄目で時価鑑定が必要なのか、運用基準が外部から見えません。税務署の顔色を窺いながら、財産評価をすることが必要になるのでしょうか?

タワーマンションを利用した相続税対策が大きな問題になりましたが、今回のケースも億ションを利用したケースのようです。今のところ限定的なケースなので実務上は大きな波紋が広がっている訳ではありませんが、どのような影響があるのか注目です。

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