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ストラディバリウス - 水垣公認会計士・税理士事務所|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

ストラディバリウス

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2019年06月24日(月)

 

 

夕食後、自宅で独り寂しくTVのバラエティ番組を観ていた時、ヴァイオリニストの木嶋真優という人が出演していました。海外でも活躍している若手ヴァイオリニストだそうですが、その時初めて知りました。そんな人が何故バラエティ番組に出演しているのか分かりませんが、彼女曰く、今使用しているヴァイオリンは、ココイチの宗次氏から貸与されている20億円のストラディバリウスだそうです。著名なヴァイオリニストが、いわゆる音楽パトロン等から名器と言われる楽器を貸与され、演奏に使用しているという話は以前にも聞いたことがあります。その時は、宗次さんて大金持ちだなぁと思いながら観ていましたが、気になったのでその後少し調べてみました。

 

宗次徳二氏70歳、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者。カレー専門店として、国内最大のカレーチェーンを築きました。その会社に対して、2015年ハウス食品がTOBを実施しました。その結果、社名は㈱壱番屋のままですが、ハウス食品の子会社になり、宗次氏は経営の第一線を離れています。創業者の宗次氏は、新規上場の時、TOBの時、それぞれ莫大な資金を手にし、それらの資金の一部が彼女の使用しているストラディバリウスに替ったのでしょう。

 

そんなTV番組を観た後、6月6日の日経新聞の夕刊に、『ココイチ創業者20億円申告誤り』という記事を見つけ、ビックリしました。名古屋国税局の税務調査を受け、申告誤りを指摘されたそうです。申告誤りは、ストラディバリウスを減価償却して申告したことが原因だそうです。記事には、『当時の顧問税理士に楽器を減価償却できると言われ、税の知識が無く信じてしまった。反省している。』という宗次氏のコメントがありました。悪いのは顧問税理士…? 

 

通常、楽器は税法上『器具備品』に該当し、法定耐用年数は5年で減価償却します。しかし、世界的な名器ストラディバリウスともなると、単なる楽器とみて良いのかが問題になります。税法上、書画骨董のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産になりません。専門的ですが、歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないものは原則として書画骨董等に該当します。ストラディバリウスともなれば、歴史的価値や希少価値を有し、代替性のないことは世界的にも広く認知されています。だからこその20億円です。どこにでもあるようなヴァイオリンなら、そもそもそんな高値はつかないはずです。顧問税理士は、自分の思い込みから、ストラディバリウスはヴァイオリン、ヴァイオリンは楽器、楽器は器具備品、法定耐用年数は5年、と言ったのでしょうか? それとも、それは300年以上も前のヴァイオリンで、すでに法定耐用年数をはるかに超過した中古ヴァイオリンだから、2年で償却できると言ったのでしょうか? 金額が金額だけに、影響が大きくなってしまいました。

宗次氏は、自己の資産管理会社を設立し、クラシック音楽専用のコンサートホールを建設したり、ストラディバリウス以外にも高価な楽器を所有し、演奏家に貸与したりして、音楽界のパトロンとして社会貢献しています。それなのに、TVのバラエティ番組や新聞でこんな形で話題になったりするのは、極めて不本意でこんなはずではなかったと思っていることでしょう…?

 

 

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