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忖度 - 水垣公認会計士・税理士事務所|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

忖度

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2019年04月23日(火)

 

今や携帯電話は老いも若きも日常生活には無くてはならないものになっていますが、415日、NTTドコモは携帯電話の通話料を6月から最大で4割引き下げると発表しました。携帯電話各社は熾烈な囲い込み競争をしていますが、ドコモに限らず料金プランは各社とも似たり寄ったりでした。その携帯電話料金については、通信料と端末代金とがセットになり、かねてから不透明かつ割高との批判がありました。今回のドコモの値下げによって競合他社も追随値下げせざるを得なくなり、利用者には朗報です。

 

しかし、一つ気に入らないのは、ドコモの値下げ決定が政治介入によって行われたことです。菅義偉官房長官は、昨年から日本の携帯料金は不透明かつ割高で見直すべきであるとの批判を繰り返してきました。今回の値下げは、官房長官の政治的な圧力に屈した結果であり、政治介入の結果です。一方では、やれ自由競争だ規制緩和だと言いながら、もう一方では、政治介入で企業経営をコントロールしようとしているかのようです。

 

ドコモの前にはセブン・イレブン騒動がありました。大阪にあるセブンの加盟店のオーナーが人手不足を理由に24時間営業を止めたら、セブン本部は契約違反だと反発しました。社会問題にもなっている深刻な人手不足問題を反映して、マスコミでも大きく取り上げられました。人手不足に苦しむ加盟店オーナーの実情を全く無視し、自分たちの利益のみを優先したセブン本部の硬直的な対応が批判され、結局、セブンは社長交代するハメになりました。この時も、役所は大手コンビニ各社を呼びつけ、一律的な24時間営業の見直しを迫りました。規制緩和と自由競争で急成長したコンビニ業界ですが、政治介入により経営の見直しが必要になっています。

 

また、生命保険会社は、国税庁の意を受けて節税保険と言われる解約返戻率重視の保険の販売を突然中止しました。日経新聞に掲載された大同生命社長のコメントによると、「無用な節税競争に一線を引く」ために販売中止したそうですが、かなり自分勝手な理由です。いままで、中小企業を巻き込んだ無用な節税競争にしのぎを削り、さんざん売りまくってきたのは自分たちです。これ以上販売を継続するとお役所に睨まれ、シッペ返しが恐いので残念ながら販売中止しました、販売中止は苦渋の決断でした、と言う方が説得力があるように思います。

行き過ぎた企業行動には一定の歯止めが必要であり、利益至上主義の経営に対してはそのモラルや社会的責任が厳しく問われるべきです。だからと言って法の手当も必要なく、手っ取り早いからと事ある毎に個別企業の経営に政治介入することは好ましいことではありません。政治介入には法的な介入ルールもなく、勝手な政治判断で恣意的に運用される恐れがあります。経営者は、監督官庁の意向やお役人の顔色を見ながら経営することが求められ、『忖度』することが求められます。今流行の忖度ですが、『忖度』経営は自由な企業活動を阻害し、企業を委縮させかねません。グローバル時代には相応しくありません。願わくば、お役人や奥さんの顔色を見て戦々兢々としなくて済む、夢のような日々がやって来ることを期待したいものです…。

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