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さまよう土地 - 水垣公認会計士・税理士事務所|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

さまよう土地

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2019年03月25日(月)

 

319日、国土交通省は201911日時点の公示地価を発表しました。それによれば、全国全用途(商業・工業・住宅)平均は1.2%の上昇で、4年連続の上昇となりました。上昇は三大都市圏だけではなく、一部の地方圏でも上昇していますが、その一方では全国の3割の地点では依然として下落が続いています。全国的に上昇と下落の二極化が進んでいます。また、あるデータによると毎年所有者不明の土地が増え続け、2016年推計で全国では約410万ヘクタールあるそうです。しかも、その増加ペースは現在も加速中です。

 

飼い主不明の野良犬や野良猫でもあるまいし、何故、土地の所有者が不明なのかと奇異に思うかもしれません。法務局で登記簿謄本を調べれば、土地の所有者はすぐに判りそうに思います。通常は、謄本で所有者を確認することができます。しかし、困ったことに謄本上の所有者が真の所有者でない場合があります。登記は義務ではないため、所有者の変更があったにも拘わらず登記手続きを行わないことがあり、その場合には謄本上の所有者と真の所有者とが一致しなくなってしまいます。

 

例えば、田舎暮らしの親が亡くなり、相続が発生した時、子供ら相続人による遺産分割協議を経て、亡くなった親の土地の相続人が決まります。そして、通常なら相続登記を行い、名義を相続人に変更します。しかし、その土地が過疎地にあり、資産価値のない土地(売れない・貸せない・使えない)であれば、わざわざお金を掛けてまで登記するのは馬鹿馬鹿しく思えます。登記は義務でもないので、それならこのまま親の名義のまま放置しておこうと思います。固定資産税を払うのも勿体ないので、いっそのこと所有権放棄をしたい位ですが、民法上所有権放棄は認められていません。こうなると、もはや土地は資産ではなく厄介もののお荷物です。

 

またある場合には、相続争いが勃発して、いつまで経っても遺産分割協議が成立せず、所有者が確定しないことがあります。相続税の申告期限は10ヶ月ですが、遺産分割協議に期限はありません。申告期限までに間に合わなければ、未分割で法定相続割合で申告すればとりあえず相続税申告だけは済みます。その後はたっぷり時間があるので、無期限で相続争いをすることができます。いつ終わるか分からない遺産分割協議が終わるまで、謄本上の所有者は故人のままで放置されます。何らかの必要があって、土地の所有者と交渉しなければならなくなった際に、既に故人となっている謄本上の所有者から、戸籍を辿って現在の真の所有者を捜し出すのは思うほど簡単なことではありません。謄本上の故人の世代を遡るごとにその困難さは増します。相続があろうが何があろうが過去も現在も将来も土地はそこにありますが、ある時を境に所有者の時間だけが止まってしまい、所有者不明の土地となってさまよい出します。

最近、国も危機感を持ち、これ以上所有者不明の土地を増やさないための対策の検討に乗り出しました。登記の義務化であったり、遺産分割協議の期間制限や権利放棄の制度創設等の対策を検討中です。しかし、法的な対策が整備されるまでにはまだまだ時間がかかり、その間にもさまよう土地は増え続けます。

 

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