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スワップ取引 - 水垣公認会計士・税理士事務所|東京都足立区・葛飾区の会計・税務事務所

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今月のコラム

スワップ取引

カテゴリ: 今月のコラム 作成日:2019年01月24日(木)

 

今、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は時の人です。毎日、TVや新聞で関連するニュースが大きく取り上げられています。ゴーン氏は容疑を否認しているので、暮れも正月もなく2ヶ月以上保釈が認められず、今も小菅の東京拘置所に勾留されています。拘置所は事務所の近くなので、拘置所の建物を目にする機会も多く、狭い拘置所の中で独り何をしているのかなぁ~と思うことがあります。ゴーン氏に限らず、決して居心地の良いところではないでしょう。

 

ゴーン氏の特別背任容疑の元になったのがスワップ取引です。円をドルに替えるスワップ取引を個人的に行ない、それがリーマン・ショック後の急激な円高・ドル安の為替変動によって、多額の評価損が発生したと報じられています。その評価損を日産自動車に付け替えたことが特別背任にあたり、かつ、付け替えに関連して在任中の不透明な取引が次々に明らかになっています。部外者なので真相は分かりませんが、今後の捜査の進展を待ちたいと思います。

 

スワップ取引というと、昔、倒産した顧問先のことを思い出します。まだ、デリバティブやスワップという言葉があまり聞き慣れなかった頃のことです。その会社は取引先の銀行の担当者や支店長から熱心にスワップ取引を勧められました。社長にすれば、銀行とのお付き合いの一環で断りきれず、銀行が勧めるなら大丈夫だろう位の気持ちで契約しました。ところが、ゴーン氏ではありませんが、リーマン・ショック後の為替相場の急激な変動で、会社は多額の含み損を抱えてしまいました。契約上、毎月一定額のドル買いを実行しなければならず、その度毎に毎月多額の為替差損が発生しました。慌てた社長は、銀行に何とかならないかと相談しましたが、中途解約もままならず、後の祭りでした。資金流出と赤字の累積に歯止めがかからなくなりました。

 

当時、多くの中小企業で似たような事例が発生し、社会問題にもなりました。銀行はスワップ取引の何たるかについてチンプンカンプンの社長に対して、リスク開示も不充分なまま契約を勧めました。銀行にすれば、リーマン・ショックによる為替変動など全くの想定外であり、自分たちも被害者だと反論するかもしれません…。金融庁ではスワップ取引に苦しむ中小企業救済のために駆け込み寺のような相談窓口を設けました。

 

そのうちスワップ取引を熱心に勧めた銀行の担当者も支店長も転勤でいなくなりましたが、会社にはスワップ契約が残ったままでした。いくら自己責任とは言え、人の良い社長をターゲットにしてスワップ取引を勧めた銀行には責任の一端があるはずですが、銀行の対応は極めて不誠実なものでした。それなのに社長は、銀行との今後の関係に配慮して、金融庁の駆け込み寺に駆け込もうとはしませんでした。そんな余裕はないはずですが、社長がご自分で決めたことなので止むを得ません。ゴーン氏はスワップ取引で185千万円の評価損を出したようですが、その会社にはゴーン氏のような資力もなく、アラブの知人もいませんでした。

 

しばらくして、その会社は倒産しました。

 スワップ取引というと、温厚だったその社長のことを思い出します。

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